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住宅ローン金利は今後どうなる?初心者向けに20年の推移と固定・変動を解説
住宅ローンや金利が初めての方へ。金利とは何か、固定と変動はどう違うか、1億2,000万円を借りると月々いくら変わるかをグラフと例で分かりやすく解説します。

「住宅ローン金利は、これからどこまで上がるのでしょうか」
正直にいうと、将来の金利を正確に当てることはできません。ただ、分からないから何も決められない、という話でもありません。
そもそも金利とは、簡単にいうと銀行からお金を借りるための利用料です。1億円を借りたら1億円だけ返せばよいのではなく、利用料にあたる利息も一緒に返します。この利用料を計算するときの割合が金利です。
金利が上がると、同じ金額を借りても毎月の返済は増えます。だから購入前にやることは、金利を当てることではありません。金利が3〜4%になっても返せる借入額を先に決めることです。固定か変動かは、その後に選びます。
この記事では、住宅ローンを初めて調べる方を想定して、約20年の金利の動きをグラフで振り返ります。分かりにくい言葉には、その場で意味を添えます。
先に結論:金利を当てるより、上がっても困らない予算にする
2026年9月14日時点で、日本銀行は、世の中の金利に影響する短期金利を1.0%程度に誘導しています。ニュースでよく聞く「日銀が金利を上げた」という話は、この金利を指すことが多いです。
ただし、日銀の1.0%が、そのまま住宅ローンの金利になるわけではありません。住宅ローンの金利は、日銀の方針や市場の動きを受けて、各銀行が決めます。
三井住友銀行が公表する変動金利型の店頭基準金利は年3.375%です。しかし、実際に新しく借りる人には、審査や商品条件による割引が入り、もっと低い金利が示されることがあります。
ここは少し分かりにくいところです。
| 言葉 | 簡単にいうと | 例えるなら |
|---|---|---|
| 政策金利 | 日銀が世の中の金利を調整するために動かす数字 | 水道の元栓。動かすと銀行の金利にも影響する |
| 店頭基準金利 | 銀行が割引前に示す基準の金利 | 商品の定価 |
| 適用金利 | 割引後に自分へ提示される実際の金利 | レジで実際に支払う価格 |
つまり、ニュースで「変動金利が3%を超えた」と見ても、全員が3%以上で借りるという意味ではありません。反対に、広告で年1%前後と書かれていても、その金利が35年間続くとは限りません。
住宅ローン金利の20年推移。長く動かなかった変動金利も上がり始めた
このグラフは、三井住友銀行が公表している「割引前の定価にあたる金利」を年ごとに平均したものです。実際に一人ひとりへ提示された金利ではありません。
目立つのは、2009年ごろから2023年まで、変動金利型の基準金利がほぼ動かなかったことです。その間も固定10年は上下していました。そして2024年以降は、固定だけでなく変動の基準金利も上がり始めています。
| 年 | 変動金利型・店頭基準金利 | 固定10年・店頭基準金利 |
|---|---|---|
| 2006年 | 2.44% | 3.76% |
| 2010年 | 2.48% | 4.10% |
| 2016年 | 2.48% | 3.05% |
| 2020年 | 2.48% | 3.27% |
| 2023年 | 2.48% | 3.70% |
| 2024年 | 2.51% | 3.96% |
| 2025年 | 2.83% | 4.65% |
| 2026年1〜9月 | 3.10% | 5.88% |
固定金利と変動金利は、同じタイミングでは動きません。
固定金利は、銀行が「この先、金利が上がるかもしれない」と考えると、先に上がることがあります。変動金利は、日銀が動かす短期金利の影響を受け、後から動く傾向があります。
天気に例えるなら、固定金利は少し先の天気予報を見て早めに傘の値段を決めるようなもの。変動金利は、いま実際に降っている雨の強さに合わせて値段が変わるようなものです。
過去20年のグラフが教えてくれるのは「次は何%になるか」ではなく、長く動かなかったから、今後も動かないとは限らないということです。
変動は約1%台、全期間固定は3%台。なぜこんなに差があるのか
2026年9月の代表例では、新しく借りる人向けの変動金利に年1%台前半の商品があります。一方、35年間ずっと金利が変わらないフラット35では、最も多く使われている金利が年3.46%です。
フラット35には、住宅の性能や家族構成などによって、最初の数年間だけ金利が下がる制度があります。条件を最大限満たす例では、当初5年間は年2.46%、その後は年3.46%と表示されています。最初の5年だけの金利を、35年間続く金利だと勘違いしないことが大切です。
固定金利が高く見えるのは、途中で世の中の金利が上がっても、銀行が約束した返済額を変えないためです。言い換えると、将来の返済額を確定させるための保険料を、最初から少し多めに払うイメージです。
変動金利は、今の利用料が安い代わりに、将来値上げされる可能性があります。固定金利は、今の利用料は高めですが、契約した期間は値上げされません。
ただし、次のような比べ方はできません。
- 広告に出ている割引後の変動金利と、割引前の固定金利を比べる
- 10年間だけ金利が変わらない商品と、35年間変わらない商品を同じものとして比べる
- 手続き費用、保証の費用、生命保険の追加費用を無視する
- フラット35Sの当初引下げ期間だけを、35年間の金利だと考える
「団信」とは、住宅ローンを借りた人が亡くなった場合などに、保険でローン残高を返済する仕組みです。「繰上返済」は、毎月の返済とは別に、まとまった金額を先に返すことです。
銀行を比較するときは、実際に提示された金利、最初にかかる費用、団信の内容、金利が変わらない期間、繰上返済の条件を一枚に並べます。
1億2,000万円を借りると、1%の差が月約6万円になる
借入1億2,000万円、35年、元利均等、ボーナス返済なしで単純計算すると、返済額は次のようになります。
「元利均等」とは、借りた元のお金と利息を合わせ、毎月の返済額がなるべく同じになるように返す方法です。日本の住宅ローンでよく使われます。
| 金利が全期間続く仮定 | 毎月返済額 | 35年間の総利息 |
|---|---|---|
| 1.2% | 約35.0万円 | 約2,702万円 |
| 2.2% | 約41.0万円 | 約5,218万円 |
| 3.2% | 約47.5万円 | 約7,963万円 |
| 4.2% | 約54.6万円 | 約1億924万円 |
1.2%から2.2%へ上がることを「1ポイント上昇」といいます。この場合、月額は約6万円増えます。3.2%なら、1.2%より月約12.5万円増えます。
これは、変動金利が明日3.2%になるという予測ではありません。「もし35年間この金利だったら」と条件をそろえ、家計がどこまで耐えられるかを見るための比較です。
銀行によっては、金利が上がっても毎月の返済額を5年間変えない「5年ルール」があります。ただし、負担が消えるわけではありません。同じ返済額の中で利息の割合が増え、借りた元のお金が減りにくくなります。この点は別の記事で詳しく扱います。
「固定と変動、結局どちらが得?」への答え
固定と変動のどちらが最終的に安かったかは、ローンを返し終わるまで分かりません。未来の電気料金プランを、35年分先に比べるようなものだからです。
ただし、「自分の家計にはどちらが合いやすいか」は今でも整理できます。
| こんな状況 | 検討しやすい選択 | 理由 |
|---|---|---|
| 収入が安定し、3〜4%でも返済できる | 変動を軸に固定とも比較 | 最初の負担を抑えながら、値上がりにも家計で対応できる |
| 毎月の支出を確定させたい | 全期間固定 | 将来の返済額が変わらない |
| 借入額が大きく、金利上昇への余裕が小さい | 借入額を下げる、固定を組み合わせる | 金利の種類より、借りる金額の大きさが負担に効く |
| 数年以内に多めの返済や売却予定がある | 期間と費用を含め個別比較 | 高めの固定金利を払う期間が短い可能性がある |
| どちらか一方の収入低下があり得る | 片働き期間でも返せる額まで下げる | 金利選びだけでは家計リスクを消せない |
酒井の判断 変動か固定かを決める前に、「金利が3〜4%になっても払える借入額はいくらか」を確認します。今の低い金利で借りられる限界まで借りてしまうと、後から固定を選んでも変動を選んでも、家計に余裕が残りません。
金利が下がるまで待てば、マンションも安く買えるのか
金利が下がるまで待つ判断にも、別のリスクがあります。
たとえば1億5,000万円の物件価格が3%上がると、450万円高くなります。一方、3,000万円を35年で借りる場合、金利1.2%と1.8%の毎月返済額の差は約8,800円です。
もちろん、物件価格が必ず上がるという意味ではありません。ただ、「金利が少し下がるまで待つ」間に物件価格がそれ以上に動けば、待った方が安くなるとは限りません。
だから「次の日銀会合を待つ」だけでは、買い時は決まりません。見るのは次の5点です。
- 候補住戸の価格が同一棟成約と比べて妥当か
- 金利が3〜4%でも無理なく返せる借入額か
- 管理費・修繕積立金・固定資産税を含めても余裕があるか
- 購入後に必要な手元資金を残せるか
- 数年後に売る場合も説明できる住戸条件があるか
港区の成約価格と金利を合わせた見方は、金利上昇、それでも今マンションを買うべき?で詳しく整理しています。
今、変動金利で買ってよい条件
- 3〜4%で試算しても、生活費と将来支出を確保できる
- 金利が上がった場合に多めに返す資金と、生活のために残す資金を分けている
- 賞与やRSUを毎月返済の前提にしていない
- 実際の金利だけでなく、手続き費用・団信・多めに返す場合の条件を確認している
- 値上がりしなければ成立しない物件価格になっていない
一度止まって考えたい条件
- 現在の金利で借りられる上限まで予算を広げている
- 1%上がった場合の月額差を計算していない
- 「日本では金利は上がらない」と考えている
- 固定金利との差を、単なる損だと感じている
- ローン以外の保有費を返済余力から外している
金利予想ではなく、三つの時点で条件を更新する
住宅ローン金利は、最初に銀行のホームページを見た日から、実際にお金を借りる日まで同じとは限りません。少なくとも次の三つの時点で確認します。
- 事前審査を申し込むとき
- 売買契約を結ぶとき
- 銀行から代金が支払われる直前
広告に出ていた一番低い金利だけで予算を決めず、自分に提示された金利で毎月の返済額を計算し直してください。
なお、日本銀行の次回金融政策決定会合は2026年9月17日・18日に予定されています。本記事は9月14日時点の情報です。会合後に政策方針が変わる可能性があるため、具体的な借入判断では最新条件を確認します。
参考資料と試算条件
- 日本銀行「金融政策」
- 三井住友銀行「住宅ローン 金利水準推移(新規)」
- 住宅金融支援機構「フラット35」
- 共有資料「日本の住宅ローン金利の長期推移と今後の動向」(2026年9月14日基準)
長期推移は三井住友銀行の公表値を年平均にしたもので、2026年は1〜9月平均です。返済試算は借入1億2,000万円、35年、毎月の返済額を原則一定にする方法、ボーナス返済なし、各金利が全期間変わらない仮定です。手続き費用、保証料、団信の追加費用、途中で多めに返す場合の影響は含みません。将来の金利、物件価格、融資承認を予測・保証するものではありません。
