Ansera購入判断コラム

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金利上昇、それでも今マンションを買うべき?港区の価格推移から考える

金利上昇局面でもマンションを買うべきか。Ansera BuildingDBの港区成約データをもとに、価格が上昇したエリアと下落したエリア、1〜2億円帯で買ってよい条件を整理します。

都心のマンションを眺めながら購入時期と住宅ローンを考える人
執筆株式会社Ansera 編集部購入判断コラム編集
監修酒井 裕株式会社Ansera 代表

「金利が上がるなら、いま買うのは待った方がいいでしょうか」

最近、この質問が増えました。もっともな迷いだと思います。1〜2億円の借入では、金利が少し動くだけでも毎月の返済額は変わります。だからといって、金利だけを見て購入時期を決めるのも危険です。

先に結論をお伝えすると、金利が上がっても持ち続けられ、相場が一時的に下がっても売り急がずに済むなら、今買う選択肢はあります。反対に、値上がりを前提にしなければ家計や住み替えが成立しないなら、いったん待つべきです。

実際、金利が上向いた時期でも、都心マンションの価格は一様には下がっていません。Ansera BuildingDBでは、2026年1〜8月の港区中古マンション成約価格が前年同期を上回ったエリアもあれば、下回ったエリアもありました。「金利が上がったから下がる」「港区なら下がらない」のどちらも、少し乱暴です。

金利は上がった。でも、港区の成約価格は一方向ではない

日本銀行は2024年3月にマイナス金利政策を終了し、2026年1月の金融政策決定会合では、無担保コールレートを0.75%程度で推移させる方針を決めました。ただし、政策金利と個々の住宅ローン金利は同じ数字ではありません。固定・変動、金融機関、審査条件によって、実際の適用金利は異なります。

そのうえで、Ansera BuildingDBの成約データを見ます。2025年と2026年の1月1日〜8月31日をそろえ、中古マンションの成約㎡単価中央値を比べました。

エリア 2025年1〜8月 2026年1〜8月 変化 成約件数
南青山 214.4万円/㎡ 284.7万円/㎡ +32.8% 44件 → 31件
西麻布 203.8万円/㎡ 262.9万円/㎡ +29.0% 25件 → 15件
白金 222.1万円/㎡ 268.4万円/㎡ +20.8% 99件 → 80件
南麻布 199.4万円/㎡ 240.5万円/㎡ +20.6% 44件 → 32件
三田 301.3万円/㎡ 312.5万円/㎡ +3.7% 61件 → 79件
赤坂 268.3万円/㎡ 222.1万円/㎡ -17.2% 73件 → 40件

金利が上向くなかでも、南青山、西麻布、白金、南麻布は前年同期を上回りました。一方で赤坂は下回っています。今回比較した港区15エリアでも、上昇と下落が混在しました。

ここで大切なのは、上昇率の順位ではありません。買主から見て代わりが少ない立地や住戸は、資金調達コストが上がる局面でも選ばれやすかった可能性がある、という点です。

ただし、この表だけで「南青山は金利上昇に強い」と断定はできません。成約件数が減っているエリアもあり、築浅や高額住戸が多く成約すれば中央値は上がります。金利上昇への耐性を証明したデータではなく、金利だけでは価格を説明できないことを示す材料です。

酒井の判断 価格が上がったエリアを、そのまま「安全なエリア」とは呼びません。実際の購入相談では、同じ棟の成約、階数、向き、眺望、管理、売り出してからの期間まで戻ります。エリアが強くても、相場より高く買いすぎれば、その部屋は金利上昇に耐えられません。

「価格が耐える」とは、値下がりしないことではない

マンションの耐性は、価格が一度も下がらないことではありません。市況が変わったときにも、次の買主がその住戸を選ぶ理由が残るかどうかです。

私たちは、主に次の点を見ます。

  • 駅距離や生活動線に、次の買主にも伝わる利便性がある
  • 同じ予算帯で代わりになる物件が少ない
  • 階数、向き、眺望、間取りに明確な選ばれる理由がある
  • 管理状態と修繕計画が、長期保有の不安を増やさない
  • 1〜2億円帯の次の買主が求める広さと間取りから外れていない
  • 売却期間を確保でき、急いで現金化する必要がない

「港区だから」「タワーマンションだから」だけでは不十分です。同じエリア、同じ建物でも、部屋によって出口は変わります。

1.5億円の購入では、価格上昇より月額差を先に見る

仮に1億5,000万円の物件を、自己資金3,000万円、借入1億2,000万円、35年返済、元利均等、ボーナス返済なしで購入するとします。

金利の仮定 ローン月額の概算 管理費等を月9万円とした総住居費
年1.0% 約33.9万円 約42.9万円
年2.0% 約39.8万円 約48.8万円
年3.0% 約46.2万円 約55.2万円

年1.0%と3.0%では、総住居費に月約12.3万円の差が出ます。3.0%になると予測しているわけではなく、想定以上に上昇しても生活と資産形成を続けられるかを見るストレステストです。

候補物件が将来10%上がるかを考える前に、この月額差を家計で吸収できるかを確認します。価格が上がっても、返済が苦しくなって不利な時期に売れば、その上昇を手元に残せないからです。

金利上昇局面でも、今買ってよい条件

  • 金利3.0%の試算でも、生活費と必要な資産形成を維持できる
  • 管理費、修繕積立金、税金まで含めた総住居費で判断している
  • 購入後も最低1年程度の生活費・住宅固定費を手元に残せる
  • 予定より長く保有しても、家族計画や働き方に無理がない
  • 同一棟と近隣の成約から、候補住戸の価格を説明できる
  • 値上がりしなくても、その家で暮らす合理性がある

いったん待つ、または予算を下げる条件

  • 現在の低い適用金利でなければ毎月の収支が成立しない
  • 賞与やRSUを毎年返済へ充てる前提になっている
  • 「港区は下がらない」という期待で相場より高い価格を許容している
  • 数年以内に転職、独立、教育、住み替えなど大きな変化がある
  • 購入後の手元資金が決まっていない
  • 同じ棟の成約や管理資料を確認せず、エリア上昇率だけで急いでいる

今買うか、待つかは二つに分けて考える

購入時期の相談では、話を二つに分けます。

一つは、家計が金利上昇に耐えられるか。もう一つは、候補住戸が価格調整に耐えられるかです。

家計に余力があっても、候補住戸を高く買いすぎれば見送ります。反対に、良い住戸が適正価格で出ても、3.0%の試算で生活が崩れるなら予算を下げます。エリアの値上がりは判断材料ですが、購入を正当化する答えにはしません。

金利が上がったから待つのでも、価格が上がっているから急ぐのでもありません。上がっても持てる家計と、下がっても売り急がなくてよい住戸。この二つがそろったときが、その人にとっての買い時です。

データと試算の条件

  • 成約データ:Ansera BuildingDB(2026年9月1日集計)
  • 比較期間:2025年1月1日〜8月31日、2026年1月1日〜8月31日
  • 指標:中古マンション成約㎡単価の中央値。面積、築年数、階数等の条件調整なし
  • 港区比較:両期間10件以上の成約があるエリアのみ
  • 返済試算:借入1億2,000万円、35年、元利均等、ボーナス返済なし。融資手数料、保証料、団信上乗せ等を含まない
  • 実際の適用金利、融資可否、返済額は金融機関の正式条件で確認が必要

参考資料

成約中央値は、その期間に売れた物件の構成によって変動します。将来の価格、金利、売却期間を保証するものではありません。