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白金のマンション価格は上がりすぎ?港区・湾岸の成約推移から購入条件を考える
白金のマンション価格を港区主要エリア、中央区・江東区湾岸の成約推移と比較。上昇率だけで決めず、1〜2億円帯で買ってよい条件を整理します。

白金でマンションを探していると、「さすがに高くなりすぎたのでは」と手が止まることがあります。数年前の価格を知っている方なら、なおさらです。実際のご相談でも、このひと言から話が始まることは少なくありません。
AnseraのBuildingDBで確かめると、白金の中古マンション成約㎡単価の中央値は、2025年1〜8月の222.1万円/㎡から、2026年の同じ期間には268.4万円/㎡へ上がっています。変化率は20.8%。感覚だけでなく、数字を見ても上昇は明らかです。
ただ、この20.8%だけを見て「もう買わない方がいい」と決めるのは早いです。反対に、「上がっているから資産価値も安心」とも言い切れません。エリアの数字は、あくまで検討の入口です。実際に買ってよい価格かどうかは、同じ棟の成約、部屋ごとの条件、毎月の保有負担、将来売るときの出口まで見て判断します。
この記事では、白金を港区の主要住宅地、中央区湾岸、江東区湾岸と同じ期間で比べます。数字はAnseraの社内DBを2026年9月1日に集計したものです。集計条件や、数字だけでは分からない点も最後に記載しています。
白金のマンション価格は、2026年1〜8月に20.8%上昇
まずは前年の同じ期間と比べてみます。2025年と2026年の1月1日〜8月31日をそろえ、成約㎡単価の中央値を見ました。
| エリア | 2025年1〜8月 | 2026年1〜8月 | 変化 | 成約件数 |
|---|---|---|---|---|
| 南青山 | 214.4万円/㎡ | 284.7万円/㎡ | +32.8% | 44件 → 31件 |
| 西麻布 | 203.8万円/㎡ | 262.9万円/㎡ | +29.0% | 25件 → 15件 |
| 白金 | 222.1万円/㎡ | 268.4万円/㎡ | +20.8% | 99件 → 80件 |
| 南麻布 | 199.4万円/㎡ | 240.5万円/㎡ | +20.6% | 44件 → 32件 |
| 三田 | 301.3万円/㎡ | 312.5万円/㎡ | +3.7% | 61件 → 79件 |
| 赤坂 | 268.3万円/㎡ | 222.1万円/㎡ | -17.2% | 73件 → 40件 |
白金の上昇率は、今回比べた港区15エリアの中で3番目でした。南青山と西麻布は白金以上に上がり、南麻布もほぼ同じ動きです。その一方で、赤坂、浜松町、虎ノ門のように前年同期を下回ったエリアもあります。
つまり、「港区ならどこも同じように上がっている」わけではありません。2026年1〜8月は、上がった場所と少し落ち着いた場所が、かなりはっきり分かれました。
酒井の判断 20.8%と聞くと、「今すぐ買わないと」と焦る方もいれば、「もう遅い」と引いてしまう方もいます。でも、私はここで一度立ち止まります。今回売れた住戸の顔ぶれが変わっただけなのか、条件の近い部屋まで本当に上がっているのか。そこを分けないと判断を誤ります。エリア全体の中央値を、そのまま目の前の部屋の査定額に使うことはありません。
70㎡なら約1.88億円。ただし、これは物件価格の答えではない
2026年1〜8月の中央値268.4万円/㎡を、70㎡の住戸に単純に掛けると約1億8,788万円です。前年同期の222.1万円/㎡なら約1億5,547万円。1年の比較で、約3,241万円もの差になります。
1〜2億円帯で探している方にとって、これは無視できる金額ではありません。ただし、「では白金の70㎡は1億8,788万円が適正なのか」と聞かれれば、答えはまだ出せません。
同じ70㎡でも、実際の価格は次の条件で大きく変わるからです。
- 築年数と建物のグレード
- 階数、向き、採光、眺望
- 角住戸か中住戸か
- 間取り効率と天井高
- 室内の改修状況
- 管理費・修繕積立金と今後の増額予定
- 駅距離、坂、周辺環境
- 所有権か定期借地権か
今回の中央値は、面積や築年数をきれいにそろえた指数ではありません。たまたま新しい物件や条件の良い部屋が多く売れた年なら、中央値も押し上げられます。だから候補物件を見るときは、まず同じ棟の直近6〜12か月へ戻り、できるだけ条件の近い成約を探します。エリアの平均より、こちらの方がはるかに重要です。
白金・中央区湾岸・江東区湾岸を同じ期間で比べる
「白金は好きだけれど、同じ予算なら湾岸も気になる」。そんなご相談もあります。今回の集計では、中央区湾岸を勝どき・月島・晴海、江東区湾岸を有明・東雲・豊洲として比べました。
| 比較エリア | 2025年1〜8月 | 2026年1〜8月 | 変化 | 成約件数 |
|---|---|---|---|---|
| 白金 | 222.1万円/㎡ | 268.4万円/㎡ | +20.8% | 99件 → 80件 |
| 中央区湾岸 | 205.0万円/㎡ | 201.5万円/㎡ | -1.7% | 381件 → 253件 |
| 江東区湾岸 | 169.0万円/㎡ | 183.1万円/㎡ | +8.3% | 396件 → 266件 |
この3市場では、白金の上昇が最も大きくなりました。中央区湾岸は高値圏でほぼ横ばい、江東区湾岸は緩やかに上昇しています。
ただし、この表をエリアの順位表として読むのは違います。白金と湾岸では、そもそも選べる建物の規模も、共用施設も、交通も、街の雰囲気も違います。将来売るときに想定される買主も同じではありません。
白金の低層・中規模マンションと、湾岸の大規模タワーを㎡単価だけで比べても、暮らしの違いは見えてきません。大切なのは、同じ予算で何が手に入り、その代わりに何を諦めるのかです。価格推移は、その話を始めるための材料の一つにすぎません。
募集価格と成約価格の距離も見る
次に、いま市場に出ている価格と、実際に売れた価格の距離を見ます。主要駅周辺のSUUMO掲載情報を参考集計すると、白金高輪周辺の募集参考単価は283.6万円/㎡でした。2026年1〜8月の白金の成約中央値268.4万円/㎡より5.7%高い水準です。
同じ方法では、中央区湾岸の募集参考単価は成約中央値より13.5%、江東区湾岸は19.5%高くなっています。
もちろん、これを見て「白金なら5.7%値引きできる」と考えるのは危険です。募集と成約では集計期間も物件の顔ぶれも異なりますし、募集価格は売主の希望価格です。交渉できるかどうかは、その部屋がいつから売られているか、同じ棟で何が成約したか、競合する部屋があるか、売主が何を優先するかで変わります。
白金で買ってよい条件
私たちが「この条件なら前向きに進められる」と考えるのは、次のようなときです。
- 白金という地名ではなく、同一棟・近い住戸条件の成約で価格を説明できる
- エリア中央値より高い理由が、眺望、階、間取り、管理など次の買主にも伝わる
- 1〜2億円の購入後も、ローン、管理費、修繕積立金、税金を含む総住居費に余力がある
- 価格が調整しても、予定する保有期間を維持できる
- 将来の売却時に競合する住戸と、候補住戸の違いを説明できる
- 白金で得たい暮らしが、湾岸や他の港区エリアより自分の優先順位に合っている
見送る、または一度止める条件
反対に、次のどれかに当てはまるなら、買付を急ぐ前に一度止まります。
- 「白金は上がっているから」という理由だけで購入を急いでいる
- ㎡単価中央値を候補住戸へそのまま掛け、築年、階、向き、眺望を調整していない
- 数年前の価格との差だけを見て、高い・安いを決めている
- エリア上昇分をすべて将来の売却で回収できる前提になっている
- 管理・修繕資料や総保有コストを確認していない
- 同じ予算で選べる他エリアとの暮らし・広さ・出口を比較していない
Anseraのエリア選び診断で整理すること
Anseraのエリア選び診断は、「白金と湾岸のどちらが上がるか」を当てるものではありません。予算、通勤、家族の日常、必要な広さ、建物の性格、保有期間、将来の売却や賃貸まで一緒に並べます。そのうえで、ご本人にとって外せないものを見つけていきます。
すでに白金に住みたいと決まっている方にも、エリア中央値だけで「高い・安い」とはお伝えしません。BuildingDBの数字から入り、同じ棟の成約、部屋ごとの差、管理状態、総保有コスト、将来の出口へと、一段ずつ具体的に見ていきます。
データの見方と集計条件
- データソース:Ansera BuildingDB(2026年9月1日集計)
- 長期集計:2020年1月1日〜2026年8月31日。2020〜2025年は各暦年、2026年は1〜8月の途中集計
- 前年同期比較:2025年1月1日〜8月31日と、2026年1月1日〜8月31日
- 指標:中古マンション成約㎡単価の中央値。面積、築年数等の条件調整なし
- 港区順位:両期間10件以上の成約があるエリアのみ
- 中央区湾岸:勝どき・月島・晴海。江東区湾岸:有明・東雲・豊洲
- 募集参考:SUUMO掲載価格の参考集計。成約価格ではなく、成約集計と期間・物件構成が異なる
中央値は、その期間にどんな物件が売れたかで動きます。白金のすべての住戸が20.8%上がった、という意味ではありません。目の前の部屋の価格を考えるときは、同じ建物の成約・募集事例と、その住戸ならではの条件を必ず足して判断します。
