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住宅ローンは金利が低い銀行がお得?手数料と「何年住むか」で比べる方法
住宅ローンは低金利だけで選んでよい?借入1億2,000万円の仮定例で、初期手数料・月額・5年後と15年後の負担を比較。売却時のローン残高、保証料の返金、手元資金まで初心者向けに解説します。

「A銀行のほうが金利は低い。でも、最初に払う手数料は高い。結局、どちらを選べばいいの?」
住宅ローンは、金利の数字が小さい方を選べば、必ず得になるわけではありません。最初の手数料と、借りている間に払う利息を合わせて比べる必要があります。
特に、数年後に住み替える可能性がある方は要注意です。35年ローンを組んでも、35年間借り続けるとは限らないからです。
見る順番は「毎月の返済額」「最初に必要な現金」「売るまでにかかる費用」の3つ。具体例で整理しましょう。
1. 低い金利は「月会費が安く、入会金が高いプラン」に似ている
たとえば、同じサービスのジムに、次の2つの料金プランがあったとします。
- 入会金は高いけれど、月会費が安いプラン
- 入会金は安いけれど、月会費が少し高いプラン
短期間でやめるなら後者、長く通うなら前者が合うことがあります。住宅ローンにも、これと似た比較が必要です。
ただし、住宅ローンには「まだ返していないお金」が残ります。月額と手数料だけで答えを出せない点は、後ほど説明します。
借入時の費用で、まず区別したいのは次の2つです。
| 費用 | 何のためのお金? |
|---|---|
| 事務手数料・融資手数料 | 銀行などへ払う、ローンを組むための手続き費用 |
| 保証料 | 保証会社に、銀行への保証をしてもらうための費用 |
保証料を払っていても、返済が不要になるわけではありません。保証会社が銀行へ立て替えた場合、借りた人は保証会社へ返す義務が残ります。三菱UFJ銀行の解説
商品によって、保証料が不要だったり、金利に含まれていたりします。「手数料が安い」と書いてあっても、別の費用がないかまで確認しましょう。
2. 「手数料2.2%」とは、借りるために銀行へ払うお金
銀行で住宅ローンを組むときには、毎月の返済とは別に、銀行へ手続きのためのお金を払う商品があります。これが「事務手数料」や「融資手数料」です。
料金の決め方の一つが、「借りる金額の2.2%」。100万円借りるごとに2万2,000円の手数料がかかる、という意味です。
| 借りる金額 | 手数料が2.2%の場合 |
|---|---|
| 1億円 | 220万円 |
| 1億2,000万円 | 264万円 |
| 1億5,000万円 | 330万円 |
計算の基準は、マンションの価格ではなく「銀行から借りる金額」です。この手数料は借入時に一度払うもので、毎年かかるものではありません。不動産会社へ払う仲介手数料とも別です。
たとえば、1億5,000万円の物件を買うために1億2,000万円を借りる場合、手数料が2.2%の商品なら、ローンの返済と利息に加えて最初に264万円かかります。この264万円を払っても、借入残高が減るわけではありません。
実際にソニー銀行では、商品によって取扱手数料が一律4万4,000円、または借入額の2.2%という設定があります。ただし、適用金利などの条件も異なるため、手数料だけで優劣は決められません。ソニー銀行の手数料一覧
ここからは、違いを理解するための仮のA・Bプランを比較します。特定の銀行の商品や、現在借りられる金利を示すものではありません。
| 比較する条件 | A:低金利・手数料高め | B:金利高め・手数料低め |
|---|---|---|
| 借入額 | 1億2,000万円 | 1億2,000万円 |
| 金利の仮定 | 年1.0% | 年1.2% |
| 返済期間 | 35年 | 35年 |
| 最初の手数料 | 264万円 | 4.4万円 |
| 毎月のローン返済 | 約33.9万円 | 約35.0万円 |
両方とも金利が最後まで変わらず、ボーナス返済なし、元利均等返済という「毎月の返済額を一定にする方法」で計算しています。保証料・団信の追加負担はない仮定で、手数料は現金払いです。登記など共通の購入費用、管理費・税金等は表に含みません。
Aは月々約1万1,300円安い一方、最初に約260万円多く払います。
「毎月の負担を軽くしたい」と「購入後の現金を残したい」。どちらを優先するかでも、選び方が変わるのです。
3. 5年で売るならB、15年借りるならAになる例
同じ条件で、5年後・10年後・15年後に売却し、その時点でローンを全額返す場合を比べます。
比較するのは、その時点までの「利息+最初の手数料」。元々借りた1億2,000万円とは別に、借りるために負担した金額です。
| 全額返す時期 | Aの利息+手数料 | Bの利息+手数料 |
|---|---|---|
| 5年後 | 約828万円 | 約683万円 |
| 10年後 | 約1,317万円 | 約1,273万円 |
| 15年後 | 約1,727万円 | 約1,771万円 |
この仮定では、5年で売るならBが約145万円少なく、15年借り続けるならAが約44万円少なくなります。差額は丸める前の数字から計算しています。
「低金利なのに、5年ではAの方が高いの?」と感じるかもしれません。Aは利息を節約できていますが、5年間では最初に多く払った手数料の分まで取り戻せていない、ということです。
ここでは、手数料の返金なし、全額返す際の追加手数料なしとしています。金利変動、途中の追加返済、住宅ローン控除、残した現金の運用益なども含めていません。実際の商品比較では、それぞれの条件を加える必要があります。
「何年なら必ずこちらが得」という共通の答えではなく、自分の借入条件と予定で比べるための例です。
毎月の返済が安いだけでは、比較が終わらない理由
5年後、まだ返していないローンはAが約1億532万円、Bが約1億578万円です。
Aは月々の返済が少ないだけでなく、残っている借金も約46万円少なくなっています。売却時には、この残りも返さなければなりません。
そのため、「手数料の差÷毎月の返済額の差」だけで損得を決めると、この違いが抜けます。
正しくそろえるなら、
「最初の手数料+売るまでの返済額+売る時点のローン残高」
を比べます。借入額が同じなら、先ほどの「利息+手数料」を比べる方法でも、同じ差になります。売却価格そのものや売却の諸費用まで含む、住まい全体の損益とは別の計算です。
4. 実際、買ったマンションには何年くらい住む?
少し前の調査ですが、アットホームが2015年に首都圏の自宅マンション売却者184人へ聞いたところ、購入から売却までの平均居住年数は12年でした。アットホームの調査資料
また、LIFULL HOME’Sの2025年調査では、東京圏のマンション売却経験者の居住期間は「10年より長く住んでいた」が31.0%。一方、5年以内の区分を合計すると53.8%でした。LIFULL HOME’S不動産査定・2025年の調査結果
どちらも、すでに売却した人への調査です。今も住み続けている人を含む「都内の購入者全体の平均」や、売却に最適な年数を示すものではありません。
それでも、35年ローンを組むことと、その家に35年間住むことは別だと考える参考になります。
たとえば、今は夫婦2人に十分な広さでも、お子さんの成長や転勤で住み替えを考えることがあります。だから住宅ローンは、「最後まで返す場合」だけでなく、「途中で売って返す場合」も比べておきたいのです。
自分の予定が決まっていなければ、3通りで考える
今から引っ越す年を決め切る必要はありません。5年・10年・15年など、いくつかの時点を並べます。この年数は調査から決めた正解ではなく、短く借りた場合と長く借りた場合の違いを見るための比較例です。
先ほどの仮の条件なら、次のように考えられます。
- 5年程度で住み替える予定がある:月額が少し高くても、初期費用の小さいBを検討する理由がある。
- 15年以上借り続ける予定がある:Aの初期費用を払っても現金が十分残るなら、Aを検討する理由がある。
- 予定が読めない:短く借りた場合と長く借りた場合の差を確認し、手元の現金も含めて判断する。
大切なのは、「35年ローンだから35年分だけ比べる」と決めつけないことです。
なお、住み続けていても、途中で借り換えたり、まとまった資金で全額返したりすれば、最初のローンを使う期間はそこで終わります。「何年住むか」は入口で、正確には「このローンを何年使うか」を考えます。
5. 銀行に確認するのは、金利以外にこの4つ
① 最初の費用は、途中で返ってくる?
ローンを早く返しても、最初の手数料が返金されるとは限りません。みずほ銀行のローン取扱手数料型では、繰上返済時に取扱手数料の返金はないと案内されています。みずほ銀行の商品概要
一方、先にまとめて払った保証料は、条件により一部が戻る場合があります。単純な年数割りで戻るとは考えず、銀行に確認してください。三菱UFJ銀行の解説
② 売却して全部返すときにも、手数料がかかる?
「一部を前倒しで返す場合」と「売却時に全部返す場合」は、別の条件になっていることがあります。
たとえば、みずほ銀行では全額繰上完済は店舗での取扱いで、繰上返済の店舗手数料が案内されています。ソニー銀行は全額繰上返済の手数料を0円と案内しています。実際に使う商品と手続き方法で確認しましょう。みずほ銀行・ソニー銀行
③ 保険の内容をそろえて比べている?
団信は、亡くなった場合など、所定の条件でローン残高が保険により返済される仕組みです。
病気への保障を追加すると金利が上がる商品もあります。必要な保障を付けた後の金利で比べないと、見た目だけ安い比較になってしまいます。みずほ銀行の商品概要
保険が支払われる条件は商品ごとに違います。費用差だけでなく、何が起きたときに保障されるかも確認してください。
④ 手数料を払った後、現金はいくら残る?
最初に264万円払っても余裕がある家庭と、その支払いで預金がほとんどなくなる家庭では、同じローンでも意味が違います。
手数料をローンに含められる場合もありますが、その分だけ借入額が増え、利息もかかります。今回の現金払いの表はそのまま使えないため、借入額を変えて計算し直します。
6. まずは、自分の借入額で月々の差を試す
「自分が借りる金額だと、金利0.2%の差は月々いくら?」
まずはそこから確かめてみてください。Anseraの計算機では、連絡先を入力せずに金利による月々の負担の違いを試せます。
この計算機は、手数料の返金や売却時の残高まで含めて銀行の優劣を自動判定するものではありません。月々の差をつかんだら、銀行から提示された初期費用と、何年くらい借りる予定かを並べて考えましょう。
月々の返済が予算内でも、手数料を払うと現金が不足するなら、そのまま進めない。逆に、長く借りる予定で、初期費用を払っても無理がないなら、低金利の利点を具体的な数字で確認する。この順番なら判断が整理できます。
7. 「私の場合、どちらを選ぶ?」を相談する
比較するときは、次の4つが分かると話を整理しやすくなります。
- 借りたい金額と返済期間
- 候補となるローンの金利・手数料
- 住み替えや、早めに返す予定の有無
- 購入後に残しておきたい現金
まだ銀行が決まっていなくても構いません。「5〜10年で住み替えるかもしれない。最初の手数料はどこまで払ってよい?」という質問一つから相談できます。
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