住宅ローン
固定金利と変動金利はどっち?住宅ローン初心者向けに1億2,000万円で比較
固定金利と変動金利の違いを初心者向けに解説。1億2,000万円の返済比較、金利上昇時の返済額と家計への影響、ミックスローンの選び方まで整理します。

目次を開く
「固定金利と変動金利、結局どちらを選べばいいのでしょうか」
住宅ローンを初めて組むとき、多くの方がここで止まります。変動金利は最初の返済が軽く見えます。一方、固定金利は毎月の金額が変わらない安心があります。
先に答えをお伝えすると、どちらが得かではなく、返済額が途中で増えても家計が困らないかで選ぶのが基本です。
変動金利を選び、金利が上がらなければ、支払額を抑えられる可能性があります。ただし、将来の返済額は確定しません。固定金利は最初の支払額が高めでも、決められた期間の返済額を最初に固められます。
この記事では、1億5,000万円のマンションを買い、3,000万円を自己資金で出し、1億2,000万円を借りる仮の例で比べます。実際の銀行金利を示すものではなく、違いをつかむための練習問題です。
固定金利と変動金利の違いを、まず一言で
変動金利は、途中で利用料が変わる住宅ローンです。
固定金利は、決められた期間の利用料を最初に予約する住宅ローンです。
スマートフォンの料金に例えると、変動金利は「今は安いけれど、将来の料金改定があり得るプラン」。全期間固定金利は「最初は少し高くても、契約中の基本料金を最後まで決めておくプラン」に近い考え方です。
| 比べる点 | 変動金利 | 全期間固定金利 |
|---|---|---|
| 借りた直後の金利 | 固定より低いことが多い | 変動より高いことが多い |
| 将来の金利 | 上がることも、下がることもある | 完済まで変わらない |
| 毎月の返済額 | 将来増える可能性がある | 借入時に決まる |
| 向いている考え方 | 増額にも家計で対応できる | 毎月の支出を確定したい |
4つの方法には、それぞれ良い点と注意点があります。今の金利だけでなく、将来増えても払えるかで比べます。
「固定10年」のような商品は、10年間だけ金利が変わりません。35年ローンなら、残り25年の金利は別途決まります。「全期間固定」とは違うため、同じ固定という言葉でも注意しましょう。
フラット35も全期間固定の選択肢
フラット35は、住宅金融支援機構と金融機関が提供する全期間固定金利の住宅ローンです。返済額を最後まで決められますが、中古マンションでは建物の基準や手数料も確認します。フラット35Sの割引は条件を満たした場合の当初一定期間だけで、35年間続くものではありません。詳しくは中古マンションでフラット35を使う前の確認点にまとめています。
1億2,000万円を35年で借りると、月々はいくら違う?
次の表は、1億2,000万円を35年、ボーナス返済なし、毎月の返済額をなるべく一定にする方法で借りた仮の計算です。
| 35年間同じ金利だったと仮定 | 毎月の返済額 | 35年間に払う利息 |
|---|---|---|
| 年1.0% | 約33.9万円 | 約2,227万円 |
| 年2.0% | 約39.8万円 | 約4,696万円 |
| 年3.0% | 約46.2万円 | 約7,396万円 |
年1.0%と年3.0%では、月々の差が約12.3万円あります。年間では約148万円です。
上の表は、変動金利と固定金利の商品を比べたものではありません。同じ1億2,000万円を35年間、同じ金利で借り続けたと仮定し、金利の違いだけで返済額がどれほど変わるかを比べた試算です。
この表の目的は、金利が違うと、同じ1億2,000万円でも家計への重さが大きく変わると知ることです。
ご自身の借入額と金利で確かめたい方は、連絡先不要の金利比較で月々の差を試せます。銀行の審査額を出すものではありません。
変動金利が5年後に上がると、どうなる?
もう少し実際の迷いに近づけます。
最初の5年間を年1.0%で返し、その後、残り30年を年2.0%または年3.0%で計算し直すとします。
| 仮の流れ | その期間の月額目安 |
|---|---|
| 最初の5年間を年1.0%で返済 | 約33.9万円 |
| 5年後に年2.0%として再計算 | 約38.9万円 |
| 5年後に年3.0%として再計算 | 約44.4万円 |
ひとつ前の表では、年2.0%の返済額を約39.8万円としています。こちらの約38.9万円より高いのは、借りた最初から35年間ずっと年2.0%として計算しているためです。
一方、約38.9万円の例では、最初の5年間を年1.0%で返しています。その間に1億2,000万円の借入残高が約1億530万円まで減り、残った金額を30年間・年2.0%で返し直すため、最初から年2.0%で借りる約39.8万円より少し低くなります。
最初の月額約33.9万円と比べると、年3.0%の例では月約10.5万円増えます。
家計で考えるなら、「10万円上がるかもしれない」と怖がるだけでは足りません。管理費や修繕積立金、固定資産税まで払った後でも、その10万円を吸収できるかを確認します。
たとえば、住宅関係の支払いが今は月45万円で収まっていても、将来55万円になったら、毎月の貯蓄を続けられるでしょうか。子どもの教育費が増える時期や、どちらかが一時的に働けない時期にも大丈夫でしょうか。ここまで置くと、変動を選べるかが少し見えやすくなります。
「5年間は返済額が変わらない」なら安心?
変動金利には、金利が上がっても毎月の返済額を5年間変えない仕組みを採用している商品があります。また、見直し後の返済額を、それまでの1.25倍までに抑える商品もあります。
少し難しく聞こえますが、急に月額が跳ね上がらないようにするクッションです。
ただし、支払いそのものが消えるわけではありません。
金利が上がると、毎月払う金額のうち、銀行へ払う利用料にあたる部分が増えます。その分、借りた元のお金が減りにくくなります。
水道の蛇口を少し閉めても、浴槽に入れる水の総量が減るわけではない、というイメージです。毎月の勢いは抑えられても、後へ残る負担には注意が必要です。
この仕組みがない住宅ローンもあります。変動金利を比べるときは、金利の数字だけでなく、返済額がいつ・どのように変わる商品なのかを確認してください。
固定金利が合いやすい人
次のような方は、固定金利を比較に残す意味があります。
- 子どもの教育費など、今後増える支出が見えている
- 毎月の住宅費が変わると家計管理が難しい
- 借入額が大きく、月5万〜10万円の増加が重い
- 賞与やRSUを返済の前提にしたくない
- 金利のニュースを気にし続けるより、支払額を決めたい
固定金利で毎月多く払う分は、単なる損とは限りません。将来の値上がりを気にしなくてよい「安心の代金」と考えることもできます。
変動金利を検討しやすい人
反対に、次の条件がそろうなら、変動金利を軸に比較できます。
- 年2.0%や3.0%で計算しても、生活と貯蓄を続けられる
- 購入後も、最低1年程度の生活費と住宅固定費を残せる
- 金利が上がったときに、借入を一部減らす選択肢がある
- 借りられる上限ではなく、余裕を残した金額を借りる
- 返済額の見直し方法を理解している
大切なのは、今の変動金利で払えるかではありません。変動した後も払えるかです。
決めきれないなら、固定と変動に分けて借りる方法もある
すべて固定か、すべて変動かの二択ではありません。借入を二つに分け、一方を固定、もう一方を変動にする方法があります。「ミックスローン」などと呼ばれます。
たとえば、1億2,000万円の借入を次のように分けます。
- 6,000万円は全期間固定
- 6,000万円は変動
仮に固定部分を年3.0%、変動部分を年1.0%、どちらも35年で計算すると、当初の合計返済額は月約40.0万円です。
全額を年1.0%の変動にした月約33.9万円より高く、全額を年3.0%の固定にした月約46.2万円より低い、ちょうど中間くらいになります。
その後、変動部分の金利が上がっても、影響を受けるのは借入全体の半分です。反対に金利が上がらなければ、変動部分では低い金利の恩恵を受けられます。
例えるなら、旅行代金の一部だけ先に円へ替え、残りは出発時の為替で替えるようなものです。全部を一つの条件に賭けず、金利が上がった場合と下がった場合の影響を分けます。
ただし、単純に半分ずつが正解とは限りません。
- 契約が二つになり、手数料や登記費用が増える場合がある
- 固定部分と変動部分で、返済期間をそろえられない場合がある
- 多めに返済するとき、どちらを先に減らすか判断が必要になる
- 取り扱っていない金融機関もある
割合は5対5だけでなく、7対3などにできる商品もあります。最終的には、銀行から出た実際の金利と費用を一枚に並べて比較します。
迷ったら、この4択に戻る
| 方法 | 先に確認すること |
|---|---|
| 変動 | 金利が上がっても、生活費と貯蓄を維持できるか |
| 固定期間選択 | 固定期間が終わった後も払えるか |
| 全期間固定 | 最初から高めの月額でも無理がないか |
| 固定と変動の組合せ | 手数料が増える場合でも分ける意味があるか |
買ってよい条件、一度止まりたい条件
買ってよい条件
- 固定・変動の両方で、毎月の総住居費を計算した
- 変動は年2.0%・3.0%になった場合も確認した
- 固定の高い月額でも、手元資金と貯蓄を維持できる
- 金利だけでなく、手数料や保険の内容も並べた
- どちらを選んでも、値上がりしなければ成立しない予算ではない
一度止まりたい条件
- 広告に出ている一番低い金利だけで予算を決めた
- 「5年間、返済額が変わらないから安心」と考えている
- 固定の月額は払えず、変動の現在金利で借りられる上限まで借りる
- 賞与やRSUを毎年使わなければ返せない
- 管理費、修繕積立金、税金を住宅費に入れていない
最後に:正解は、返済後の暮らしで決まる
固定金利と変動金利の正解は、35年後まで金利がどう動くかによって変わります。それを今、正確に当てることはできません。
でも、「月々いくらまでなら、暮らしを崩さずに払えるか」は今から確認できます。
固定金利は安心を先に買う方法。変動金利は、将来の変化を引き受ける代わりに、今の負担を抑える方法です。どちらを選ぶにしても、返済した後に生活費と貯蓄が残ること。それが一番大切です。
金利がこれまでどう動いたかを知りたい方は、住宅ローン金利の20年推移と固定・変動の違いもご覧ください。管理費や税金を含めて考えたい方は、1.5億円のマンションの総住居費で整理しています。
参考資料と試算条件
- 住宅金融支援機構「住宅ローンを利用する場合の3つのリスク」
- 住宅金融支援機構「フラット35」
- 住宅金融支援機構「フラット35S」
- 住宅金融支援機構「フラット35Sのプランと技術基準」
- 住宅金融支援機構「対象となる住宅・技術基準」
- 住宅金融支援機構「中古住宅の技術基準」
- 住宅金融支援機構「融資率とは」
- 三菱UFJ銀行「変動・固定・全期間固定金利の違い」
- 三井住友銀行「金利上昇時の住宅ローン返済プランの見直し方法」
試算は、借入1億2,000万円、35年返済、元利均等返済、ボーナス返済なしとして計算しています。「元利均等」とは、借りた元のお金と利息を合わせ、毎月の返済額がなるべく同じになる返し方です。5年後の例は、当初5年間を年1.0%で返済し、その時点の残高を残り30年・年2.0%または3.0%で再計算しています。実際の返済額は金融機関の商品、金利の見直し時期、審査条件等で異なります。融資承認や将来金利を示すものではありません。
