Ansera購入判断コラム

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買った後に転勤になったら、マンションを貸せる?売る?

住宅ローン返済中に転勤したら自宅を貸せる?銀行への確認、家賃から引く費用、売却時の手取り、海外転勤の税金まで、購入前に知りたい判断順を解説。

海外転勤に向けて荷造りをする、都心のマンションの明るい居間
執筆株式会社Ansera 編集部購入判断コラム編集
監修酒井 裕株式会社Ansera 代表

「気に入ったマンションがある。でも、数年後に転勤になったらどうしよう」

港区・都心で1〜2億円の自宅を買うなら、この心配は後回しにしない方がよいと思います。転勤になったら、「家族が住み続ける」「人に貸す」「売る」の三つから考えます。

先に答えると、転勤になったからといって、住宅ローン返済中のマンションを自由に貸せるわけではありません。ただし、一時的な転勤などの事情があり、金融機関の承諾を得て貸せる場合はあります。

順番が大切です。まず銀行に「転勤中、貸してもよいですか」と確認する。その後に「いつか戻るか」「借り手がいない月も払えるか」「売ればローンを返し切れるか」を考えます。家賃と毎月のローン返済額だけを比べても、答えは出ません。

まず「買った家なら自由に貸せる」とは考えない

住宅ローンは、基本的に本人や家族が住む家を買うためのお金です。最初から人に貸す目的なら、自分が住む家として住宅ローンを借りることはできません。

自分で住むために買った後、予想外の転勤が決まった場合は話が別です。一時的に貸せることもありますが、「転勤だから大丈夫」と自分で決めて入居者を募集してはいけません。まず借入先に、転勤の理由、いつ戻る予定かを伝えます。戻る見込みがない場合などには、住宅ローンをまとめて返す必要が生じる可能性もあります。三井住友銀行の案内

家族がそのまま住み続ける場合と、家族全員が転居して第三者に貸す場合も同じではありません。「転勤」という一言でまとめず、誰がいつまで住むのかを銀行に伝えましょう。

転勤が決まったときの順番

  1. まず借入先へ、転勤理由、家族が住み続けるか、戻る予定を伝える。
  2. 一時的に貸してよいと確認できたら、戻る予定があるかを考える。戻るなら、期間を決めて貸す方法も検討する。戻らないなら、貸し続ける場合と売る場合を比べる。
  3. 今のローンでは貸せないなら、借入条件を変えられるか、返済して売るかを銀行に確認する。ローンの切替えは、希望すれば必ずできるものではない。

貸せると分かっても、家賃だけで採算を決めないことが大切です。購入前にも同じ順番で「将来、貸す・売るを選べるか」を確かめておきましょう。

貸すか売るか、三つの質問で絞る

質問 貸す方向を考えやすい 売る方向を考えやすい
戻る予定は? 数年後に戻る見込みがある 戻る時期が分からない、または戻らない
お金は持つ? 空室や修理があっても支払いを続けられる 家賃が止まると返済が苦しい
売るとどうなる? 今売るより、持つ理由がはっきりしている 売却代金でローンと費用を払え、次の暮らしに現金を回したい

これは目安です。「戻りたい」気持ちがあっても、銀行が今のローンでの貸し出しを認めなければ、そのまま貸せません。「売りたい」と思っても、売ったお金でローンを返し切れなければ、自分の現金を足す必要があります。

「家賃50万円なら、ローン35万円を払って余る」は危ない

仮に1億5,000万円で購入した部屋を、転勤中に月50万円で貸せそうだとします。住宅ローンの返済が月35万円なら、「15万円残る」と考えたくなります。

しかし、次のように置くと見え方が変わります。実在する物件の賃料や費用ではなく、計算方法を示すための仮の数字です。

月ごとの仮の金額 金額
受け取る家賃 50万円
住宅ローン返済 35万円
管理費・修繕積立金(建物の維持と将来の修理に払うお金) 6万円
固定資産税などの月割り 3万円
賃貸管理の費用(家賃50万円の4%として仮置き) 2万円
空室・室内修理に備える積立て 5万円
差額 マイナス1万円

表の「積立て5万円」は、毎月かかる請求ではありません。たとえば借り手が退去して次の人が決まるまでの家賃や、壊れた給湯器の交換に備えて、手元に残すお金です。転勤先の住居費も別にかかります。この例なら、家賃がローン返済より15万円高くても、余裕があるとは言えません。

借り手が決まるときの費用も別に見る

上の表に入れた月2万円は、家賃50万円の4%です。賃貸管理を会社に任せる場合、管理料は家賃の3〜5%程度が一つの目安。家賃の集金や借り手からの連絡への対応などを頼むために、毎月払います。家賃50万円なら、3%で月1万5,000円、5%で月2万5,000円です。実際の料率や消費税、任せられる仕事の範囲は管理会社との契約で確認しましょう。国土交通省の賃貸住宅管理業に関する調査

それとは別に、借り手を探し、賃貸契約をまとめてもらったときに、不動産会社へ払う「媒介報酬」があります。これは毎月ではなく、入居者が決まったときの費用です。借り手が入れ替われば、再び募集費用がかかる場合もあります。管理と募集を同じ会社に頼んでも、何にいくら払うのかは分けて確認しましょう。

「礼金をもらえるなら、そのお金で媒介報酬を払えば、手出しはないのでは?」と考える方もいるでしょう。その通り、礼金と媒介報酬が同程度なら、契約時の現金の持ち出しを抑えられる場合があります。ただし、礼金をいくら受け取れるか、貸主が媒介報酬をいくら負担するかは、その募集条件と契約次第です。礼金がない場合や、報酬の方が高い場合は持ち出しが生じます。礼金で払えたとしても、費用そのものが消えたわけではありません。

なお、「敷金」は礼金と違い、退去時に借り手へ返す可能性のある預かり金です。最初に口座へ入っても、自由に使える利益として数えないようにしましょう。国税庁の家賃・礼金・敷金の説明

家賃収入には税金の申告も関係します。ただし、表の「マイナス1万円」がそのまま税金の計算結果になるわけではありません。税金は、家賃収入から税務上認められる費用を引くなど、別の方法で計算します。個別の金額は税理士や税務署に確認してください。国税庁「不動産収入を受け取ったとき」

売るなら「売値」ではなく、手元に残るお金を見る

今度は、同じ部屋を1億6,000万円で売れると仮定します。売る時点でローンが1億2,000万円残り、売却にかかる費用が仮に600万円なら、差し引きは3,400万円です。

1億6,000万円 − 1億2,000万円 − 600万円 = 3,400万円

この3,400万円は「儲け」ではありません。売った代金からローンと費用を払った後、手元に戻る現金の仮の額です。売却で利益が出たか、税金がかかるかは、もともといくらで買ったかなども調べないと分かりません。

住まなくなった自宅を売る場合、一定の条件を満たせば、売却で出た利益から最高3,000万円を差し引いて税金を計算できる制度があります。「3,000万円もらえる」という意味ではありません。売る期限もあり、たとえば2026年9月に住まなくなったなら、2029年12月31日までの売却が条件の一つです。国税庁「過去に居住していたマイホームを売ったとき」

転勤後に一度貸したからといって、それだけで対象外になるわけではありません。国税庁は、住まなくなった後の家の使い方は問わないと説明しています。ただし、ほかの条件や新しく買う家の住宅ローン控除との関係もあるため、「いつか売れば使える」とは考えず、転居時点で確認します。国税庁「マイホームを売ったときの特例」

戻るつもりで貸すなら、入居者との契約も大切

「3年後に帰国するから、3年だけ貸して返してもらえばよい」と思うかもしれません。でも、一般的な賃貸契約では、貸主の希望だけで契約を終わらせることは簡単ではありません。

期間を決めて貸す方法の一つに「定期借家契約」があります。たとえるなら、借り手と最初に「ここまでの期間、貸します」と約束する方法です。通常の賃貸契約と違って、決めた期間が終われば更新せずに終了します。ただし、書面を作り、契約前に説明するなど、必要な手続きがあります。3年後に戻るつもりなら、借り手との契約期間がその予定に合うかも確かめます。国土交通省「定期借家権に関するQ&A」

借り手が住んでいる間に売る場合も、空室の自宅を売るときとは買主の探し方や引渡し条件が変わります。「とりあえず貸して、困ったらすぐ売る」は安全な計画ではありません。

購入前に、候補物件で確認したいこと

転勤が決まってから慌てないよう、購入を申し込む前に次の四点だけでも確認しておくと、選択肢を残しやすくなります。

  1. 銀行:家族全員が転居して貸す場合、いつ・どんな手続きをすればよいか。
  2. マンションの利用ルール:人に貸す際、管理組合への届出や制限はあるか。
  3. お金:似た部屋の家賃、空室や修理を見込んだ毎月の負担、売るときの費用とローン残高はいくらか。
  4. 戻り方:何年後に戻る可能性があるか。貸すなら賃貸契約の期間と合うか。

住宅ローン控除も、家族全員が転居する場合と家族が住み続ける場合で扱いが異なります。再び住む場合の手続きもあるため、控除を使っている方は転居前に確認してください。国税庁「転勤と住宅借入金等特別控除等」

海外転勤では、家賃が満額振り込まれない場合がある

1年以上の予定で海外へ転勤すると、税金の上では日本に住んでいない「非居住者」になるのが一般的です。この状態で日本のマンションを貸すと、借り手が家賃から税金を先に差し引く場合があります。給与が税金を引かれてから振り込まれるのに似た仕組みで、名前は「源泉徴収」です。貸主へ後から家賃の20.42%の請求書が届く、という話ではありません。国税庁「海外勤務中に不動産所得などがある場合」

たとえば家賃が月50万円で、借り手が会社なら、2026年時点では原則として10万2,100円を先に差し引き、貸主へ39万7,900円が支払われます。借りた部屋に社員が住む場合でも、契約して家賃を払うのが会社なら同じです。一方、個人が自分や家族の住まいとして借りて支払う家賃なら、この差し引きは不要です。国税庁「非居住者等に不動産の賃借料を支払ったとき」

ここで、先ほどの表を思い出してください。家賃50万円を受け取る前提では、毎月の差額はマイナス1万円でした。会社が借り、税金を先に差し引かれる場合、当面の振込額は39万7,900円になります。表に置いたローンや管理費などの51万円を払うには、その月は約11万2,100円を自分のお金から足す計算です。

ただし、先に引かれた10万2,100円が、そのまま最終的な税額になるわけではありません。家賃収入と税務上認められる費用を基に申告し、引かれすぎていれば戻る場合もあります。逆に、個人の借り手から差し引かれなくても、家賃収入が非課税になるわけではありません。「先に口座へ入る額」と「最後に負担する税金」は分けて考えましょう。国税庁「海外勤務中に不動産所得などがある場合」

日本で確定申告が必要なら、国内で代わりに申告書を出したり、税務署からの書類を受け取ったりする「納税管理人」も決めます。家を貸す相手が個人か会社か、契約書上の借り手は誰かを、入居者募集の前に税務署や税理士へ確認しておきましょう。国税庁「海外勤務と納税管理人の選任又は解任」

転勤の可能性がある人は、どんな住戸を選ぶ?

転勤の可能性だけを理由に、購入を諦める必要はありません。ただし「いつか貸せるだろう」と期待するより、貸す場合も売る場合も選びやすい住戸かを比べた方がよいでしょう。

たとえば、同じ予算で候補が二つあるとします。一方は駅に行きやすく、似た広さの部屋が実際に貸された例がある。もう一方は魅力的な内装ですが、間取りが独特で、貸す場合に参考にできる例が少ない。転勤の可能性が高い人なら、見た目の好みだけで決めず、前者もよく比べたいところです。

ほかにも、次の買主が使いやすい間取りか、管理費・修繕積立金が重すぎないか、マンションの利用ルール上、人に貸すときの届出や制限があるかを見ます。数年後に戻るつもりなら、期間を決めて貸す条件でも借り手が見つかりそうか、通常の賃貸とは分けて考えます。どの条件も、借り手や買主が必ず見つかるという保証ではありません。

そのうえで、お金の面も確認します。想定家賃が一か月止まるだけで返済が苦しく、売ってもローンを返し切れないなら、「後で貸せばいい」を購入理由にしない方がよいでしょう。購入額を下げる、別の住戸を探す、今は賃貸を続ける。見送ることも含めて比べます。

転勤が心配なら、「買うか買わないか」だけでなく、「転勤しても貸す・売るを選べる物件か」で比較する。それが購入前の判断です。

候補が二つある方は、AとBについて「貸したら家賃はいくらになりそうか」「一年間持つといくらかかるか」「売るならいくらを見込むか」「その時ローンはいくら残るか」を並べてみてください。確認できる資料をもとに、港区の1〜2億円帯を中心に、港区以外の都心エリアも含めて整理できます。

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