Ansera購入判断コラム

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港区の定期借地権マンションは買ってよい?メリット・デメリットと売却時の注意点

港区の定期借地権マンションは本当にお得?普通借地権との違い、価格と毎月の費用、残り年数、売却時の地主承諾を初心者向けに解説。広尾の実例も確認します。

都心の建物に囲まれた更地
執筆株式会社Ansera 編集部購入判断コラム編集
監修酒井 裕株式会社Ansera 代表

港区や都心でマンションを探していて、立地や広さの割に価格を抑えた部屋を見つけた。物件情報を見ると、土地の欄に「定期借地権」と書いてある。

「安いなら、むしろお得なのでは?」と思いますよね。

結論から言うと、定期借地権は「安い代わりに損をする物件」でも「必ずお得な物件」でもありません。 土地を所有しない分、同じ予算で希望する立地や広さに届くことがあります。一方で、土地を使える期限と毎月の費用があります。価格差、住む予定年数、将来の売却条件を一緒に比べて、自分に合うかを判断します。

そもそも定期借地権とは?

一般的な所有権マンションでは、部屋と一緒に土地の権利も持ちます。定期借地権マンションでは、部屋を所有する一方、土地は地主から決められた期間だけ借りて使います。

たとえるなら、建物の部屋は自分のもの。でも、その部屋を置く土地には利用期限がある、という組み合わせです。単なる賃貸住宅ではありません。部屋は買いますし、期間内なら条件に従って売却することもできます。

住宅でよく見る「一般定期借地権」は、土地を借りる契約を最初に50年以上で結び、原則として契約更新はありません。中古で買う人に50年が新たに与えられるわけではない点が大切です。仮に70年の契約が始まって25年経っていれば、残りは45年です。まず「何年契約か」ではなく、その部屋を買う時点で何年残るかを見ます。

マンション購入で、まず覚える借地権はこの3つ

「借地権」は、土地を借りて建物を持つ権利の総称です。中古マンションを探すなら、まずは次の3つの違いを押さえれば、広告を読みやすくなります。

物件情報に書かれる名前 簡単に言うと 購入時に確かめること
一般定期借地権 土地を使える期限が決まっており、原則として更新しない 買う時点で何年残るか
普通借地権 契約を更新する仕組みがある 更新の条件や、そのときの費用
旧法借地権 昔の法律に基づいて結ばれた借地契約 元の契約書に書かれた期間・更新条件

「借地権のマンション」といっても、全部が定期借地権ではありません。 特に、普通借地権や旧法借地権を、期限が来たら必ず土地を返す一般定期借地権と同じものとして考えないことが大切です。

マンションではほとんど見かけないもの・対象外のもの

  • 建物譲渡特約付借地権:一定期間が過ぎたら建物を地主へ売り渡して、借地契約を終える約束が付いた方式です。住宅にも使えますが、国土交通省は活用例が少ない方式として紹介しています。
  • 事業用定期借地権:店舗や事務所など、事業用の建物のための方式です。住むためのマンションには使えません。

制度上の定期借地権は「一般」「建物譲渡特約付」「事業用」の3種類です。ただ、自分が住む中古マンションを探すときは、まず上の表の3つを見分ければ十分です。珍しい方式が出てきた場合は、その物件の契約書で終了時の扱いを確認します。

また、広告にある「地上権」「賃借権」は、上の表とは別の分類です。いつまで土地を使うかと、どんな権利として土地を使うかの違いだと考えると整理できます。売るときの地主承諾に関わるため、後ほど説明します。ここから先は、都心の中古マンションで検討する機会のある一般定期借地権を中心に見ていきます。

定期借地権のメリットは?

一番の魅力は、土地を買わないことで、購入時の予算を立地や部屋の広さに振り向けられる可能性があることです。たとえば同じ1億5,000万円の予算で、所有権なら希望より狭い部屋しか見つからなくても、定期借地権なら希望する広さの候補が見つかる場合があります。反対に、同じような立地・広さなら購入価格を抑えられる場合もあります。どちらも必ずそうなるわけではないため、実際の候補同士で比較します。

もう一つは、地主が土地を手放さなくてよいからこそ、まとまった広さの敷地を住宅として使えるケースがあることです。緑や共用部分にゆとりがある物件もあります。国土交通省も、定期借地権マンションの魅力として、所有権と比べて手が届きやすい価格で広さや住環境を得られる場合があると説明しています。

「定期借地権なら値上がりしない」と決めつけるのも違います。 ただし、値上がりすることと、購入者が諸費用・地代まで含めて利益を得られることは別です。

定期借地権でも、価格が上がることはある?

土地を借りる期限があるからといって、部屋の価格が必ず下がり続けるわけではありません。たとえば、定期借地権付きマンションの広尾ガーデンフォレスト(渋谷区)では、2015年前半に売れた部屋の面積あたりの平均価格が、2014年後半より高くなっていました。

ただし、時期ごとに売れた部屋は広さや階数などが異なります。この数字は「買えば値上がりする」という約束ではなく、借地だから必ず値下がりするわけでもないと分かる事例です。今気になる部屋があるなら、その部屋の価格だけでなく、土地を使える残り年数と毎月の費用も確認して判断しましょう。

デメリットは?

主な注意点は、土地を使える期限が決まっていること、地代や解体に備えるお金がかかる場合があること、そして将来の売却や住宅ローンが残り年数・契約条件の影響を受けることです。購入価格だけを見ると魅力的でも、住んでいる間の支払いと売るときの手取りまで含めると、所有権のほうが合う人もいます。

たとえば「いつか子どもに土地の権利も引き継ぎたい」人には、契約満了で土地を返す一般定期借地権は目的に合いません。逆に「今から十数年、希望する立地と広さで暮らすことを優先したい」人は、残り年数と費用が十分に合えば検討する価値があります。

「本当にお得か」はどう比べる?

土地そのものを買わない分、所有権の物件より購入価格を抑えられる場合があります。その代わり、保有中に地代や建物の解体に備えるお金がかかることがあります。将来売るときの価格も、残り年数や買主が使える住宅ローンの条件に左右されます。

例えば、似た条件の所有権マンションが1億5,000万円、定期借地権マンションが1億3,500万円だったとします。価格差は1,500万円です。一方、後者で土地を借りる地代が月3万円、解体に備える積立が月1万5,000円なら、この2項目だけで10年間に540万円を払います。

これは計算方法を示す仮の例です。実際の金額ではありません。管理費・修繕積立金・税金・住宅ローンの差も別にあり、10年後にそれぞれいくらで売れるかも分かりません。価格差の1,500万円が、地代・解体準備金の540万円より大きいからといって、差額の960万円がそのまま利益になるわけではありません。反対に、毎月の費用があるから直ちに損とも言えません。

買う前には、少なくとも次の3つを並べます。

  1. 購入時に払う総額
  2. 住んでいる間に払う総額
  3. 予定した時期に売る場合の手取りと、売れなかった場合の備え

売るとき、地主へ手数料を払うの?

払う物件もありますが、すべての定期借地権マンションで必要なわけではありません。 ここは広告の一行だけでは判断できません。

土地を借りる権利には、主に「地上権」と「賃借権」という形があります。難しい言葉ですが、売却時に関係する違いは次のとおりです。

土地を使う権利 売るときにまず確認すること
地上権 原則として、権利を譲るための地主の承諾は不要。ただし、その物件固有の契約・手続きは確認する
賃借権 原則として地主の承諾が必要。ただし、マンション全体の契約で売却時の承諾を不要としている場合などがある

承諾を得る際に「譲渡承諾料」「名義変更料」と呼ばれるお金が必要な契約もあります。承諾が必要なことと、お金が必要なことは別です。承諾は必要でも、承諾料はかからない物件もあります。国土交通省の資料も、定期借地権付き分譲マンションには、譲渡承諾料が発生しない契約があると説明しています。

売却時の条件を、仮に3つのパターンに分けるとこうです。

パターン 売るときに起きること
A:承諾不要 地主への承諾申請も承諾料も不要。ただし売買に伴う通知や名義変更の手続きは確認する
B:承諾は必要、費用なし 地主へ申請して承諾を得る。費用はかからなくても、手続きに要する日数を確認する
C:承諾と費用が必要 申請の順番、費用の額または計算方法、売主・買主のどちらが負担するかを確認する

ここで確かめたいのは「定期借地なら売値の何%」という一般論ではありません。そのマンションの借地契約に、いつ、誰が、いくら、どのように払うと書かれているかです。金額や計算方法が決まっていなければ、売る時期になって初めて費用が分かる可能性もあります。売主と買主のどちらが負担するかも、売買契約の条件として確認します。

実際に、広尾ガーデンフォレストG棟の売出資料には、借地権の譲渡は可能で「地主への事前通知要」と記載されています。これはこの住戸の掲載条件であり、承諾申請ではなく通知と書かれている例です。承諾料などの費用の有無までは、この掲載資料だけでは確定できません。

例えば将来1億2,000万円で売れ、ローンが8,000万円残っていたとします。差額は4,000万円ですが、仮に売主負担の承諾料が100万円かかる契約なら、まず3,900万円になります。さらに仲介手数料やその他の売却費用も差し引きます。100万円は説明用の仮定で、定期借地権マンションの相場を示す金額ではありません。まだ金額を確認していない譲渡承諾料を、勝手に0円として資金計画を作らないことが大切です。

なお、定期借地権には原則として契約の「更新」がないため、普通借地権で話題になる更新料を、将来の定期借地権の費用として一律に足すのも正確ではありません。

毎月の支払いは、管理費だけではない

販売図面で「管理費・修繕積立金」を見慣れていても、定期借地権では別の欄まで確認します。

名称の例 何のためのお金か 確認したいこと
地代・借地料 土地を使う対価 月額、値上げの決め方、次の見直し時期
解体準備金・解体積立金 契約終了時の建物解体等に備えるお金 現在の積立額、将来の不足時の負担、売却時の扱い
管理費・修繕積立金 建物の日常管理と修繕のためのお金 将来の増額・一時金予定。解体用のお金と混同しない
保証金・権利金・前払地代など 契約に伴う一時金や先に払う地代 追加負担の有無、売却時の引継ぎ・精算方法、返還条件

「保証金」は返還が予定されるお金、「権利金」は通常返還を前提としないお金という違いがあります。ただし、中古の買主が売主へいくら精算し、後で誰から返還を受けられるかは、その契約書と売買条件次第です。名前だけで「いつか戻るから負担ではない」と判断しないでください。

住宅ローンは使える?

使える場合はあります。ただし、所有権マンションと同じ銀行・同じ借入期間で借りられるとは限りません。

例えば定期借地権付き住宅向けの融資を扱う銀行でも、借入期間を「借地権の残りの期間内」とする商品があります。別の銀行が同じ条件で審査するとは限らず、借地権の種類や担保の取り方によって条件も変わります。

そのため、年収だけを入れる一般的な住宅ローン試算で「借りられそう」と出ても、候補物件での審査を済ませたことにはなりません。買付前に、物件資料と借地契約の内容を銀行へ示し、使える融資と返済期間を確認しておきたいところです。

契約が終わるときはどうなる?

一般定期借地権では、原則として契約が終わると建物を取り壊し、土地を地主へ返します。購入時に「そのころには更新できるはず」と考えるのは危険です。

もちろん、その前に売る選択もあります。ただ、売る時点で土地を使える年数は今より短くなっています。次の買主が何年住めるか、住宅ローンを何年で組めるかまで考えて、将来の売却を見ておく必要があります。国土交通省も、契約期限が近づくと売却が難しくなる点を挙げています。

また、解体準備金を積み立てていても、その額で将来の解体費用が足りるかは別の確認です。契約終了時の費用を誰が負担し、管理組合がどこまで関わるかは、借地契約と管理規約を見ます。

買付前に見せてもらいたい資料

気になる部屋があるなら、販売図面に加えて次の資料・回答を求めます。難しければ、まず不動産会社にこのまま質問して構いません。

  1. 借地契約書・重要事項説明書:「土地を借りる契約はいつ終わりますか。地上権と賃借権のどちらですか」
  2. 地代と改定の資料:「今いくらで、何年ごと・どんな条件で見直されますか」
  3. 譲渡・転貸の条項:「将来売る、または貸すときに地主の承諾は必要ですか。費用、負担者、手続き、所要期間は決まっていますか」
  4. 解体準備金と管理資料:「積立残高と今後の負担はどうなっていますか。足りない場合はどうしますか」
  5. 保証金などの精算資料:「購入時・売却時・契約終了時に、誰が誰へ何を払いますか」
  6. 候補物件での住宅ローン条件:「この権利形態と残り年数で、どの銀行が何年の返済を扱いますか」

資料がない段階で「たぶん大丈夫」と判断するより、答えがそろうまで購入判断を保留する方が安全です。

買ってよい条件、いったん見送る条件

検討を進めやすい条件

  • 自分が住む予定期間に対し、借地の残り年数に余裕がある
  • 地代・解体準備金を含む毎月の支払いが、予算に収まる
  • 地代改定や解体費不足時の扱いを資料で確認できる
  • 売却時の承諾・費用・精算方法が明確で、将来の手取りを概算できる
  • 候補物件に使える住宅ローンの条件を確認できる
  • 価格差を、同じような広さ・立地・管理状態の所有権物件と比較できる

立ち止まりたい条件

  • 販売価格が安い理由を「定期借地だから」で済ませ、費用の説明がない
  • 売却時の地主承諾・承諾料について契約書を確認できない
  • 地代がどの程度変わり得るか分からない
  • 解体準備金の不足時に誰が負担するか分からない
  • 数年後に売る予定なのに、その時点の残り年数や融資の制約を見ていない
  • 所有権マンションと同じ銀行・返済期間を前提に資金計画を組んでいる

定期借地権は「土地を借りる条件も含めて選ぶ物件」です。 希望する立地や広さを予算内で得られることは、はっきりしたメリットです。そのために払う地代などと、使える残り年数を受け入れられるかが判断の分かれ目です。価格が上がった事例があるからといって将来の値上がりを前提にせず、逆に「借地だから価値がない」とも決めつけないでください。

港区以外の都心エリアも含め、気になる定期借地権マンションがあれば、まず販売図面の「土地権利」「借地期間」「地代」の欄を確認してみてください。個別物件では、その数字に借地契約、管理資料、融資条件を重ねて初めて購入判断ができます。「この部屋を、この条件で買ってよいか」を整理したい方は、購入相談をご利用ください。

購入後の負担を比べる際は1.5億円マンションの総住居費、将来の売却を考える際はリセールバリューの見方も参考になります。買付前に集める資料は管理資料7点と契約前の確認事項で整理しています。

参考資料

この記事の金額例は理解のための仮定です。制度の説明は一般論であり、個別物件の借地契約、売買契約、金融機関の審査条件を代わりに確定するものではありません。