Ansera購入判断コラム

物件選び

旧耐震のマンションは買わない方がいい?築年数だけで決めない購入前の確認ポイント

旧耐震なら買わない方がいい?新耐震との違い、Is値0.6の意味、補強費、ローン、将来の売却を整理。1億3,000万円の旧耐震と1億5,000万円の新耐震を架空例で比べ、購入前の判断方法を解説します。

植栽のある都心の中層マンションの外観イメージ(実在物件の耐震性を示すものではありません)
執筆株式会社Ansera 編集部購入判断コラム編集
監修酒井 裕株式会社Ansera 代表
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「駅に近くて、部屋も広い。新しいマンションより予算を抑えられる。でも、旧耐震と聞くと怖い。」

その迷いは、価格だけでは解決できません。地震への強さと、購入後に必要なお金は、別々に確認する必要があるからです。

1. 旧耐震マンションは買わない方がいい?まず結論

旧耐震という理由だけで、すべてを候補から外す必要はありません。ただし、「安く買えるから、耐震性は分からなくてもよい」と考えるのは避けたいところです。

検討する順番は、まず建物の耐震性。次に必要な補強や修繕の費用、ローン、将来売るときの条件。そのうえで、立地や広さに魅力があるかを比べます。

特に、次の3つは同じではありません。

建物の状況 購入者としての受け止め方
耐震診断をしていない 危険と決まったわけではないが、耐震性を診断で確認できていない
診断で必要な耐震性が不足すると分かった 必要な補強と対応状況を確認する。値引きとは別の問題
診断や改修後の評価で必要な耐震性を確認できた 評価の対象・時期・注意点を確かめ、費用や暮らしの条件も比較する

未診断なら内覧もしてはいけない、という意味ではありません。ただ、未確認のまま安心して契約できる、という意味でもありません。

2. 旧耐震と新耐震は、地震への備え方が違う

耐震基準とは、建物に求める「地震に耐えるためのルール」です。大きな違いは、大地震に対する倒壊防止の確認が加わったことです。

比較すること 旧耐震基準 新耐震基準
建築確認日の目安 1981年5月31日以前 1981年6月1日以降
基準の考え方 中規模の地震に対する安全性を中心に確認 中規模に加え、大規模の地震で倒壊・崩壊しないことも確認
購入時に見ること 診断・改修による個別の耐震性確認が特に重要 建物の状態や修繕状況も確認

一般向けの説明では、中規模は震度5強程度、大規模は震度6強〜7程度が目安とされます。ただし、「その震度なら必ず無傷」という境界線ではありません。UR都市機構・耐震基準の説明

旧耐震は、実際にどのくらい危険?

気象庁は、耐震性が低い鉄筋コンクリート造では、震度6強で柱が崩れて倒れる建物もあると説明しています。一方、築年数だけで耐震性の高低が決まるわけではないともしています。気象庁・震度階級関連解説表

つまり、「古いから必ず倒れる」ではありません。しかし、必要な耐震性が不足した建物には、命に関わるリスクがあります。この重さを、価格の安さと引き換えに軽く扱わないことが大切です。

新耐震も、地震後に修理せず住み続けられる保証ではありません。大地震に対する目標は、まず倒壊などから人命を守ることです。国土交通省・耐震性Q&A

「1982年完成だから新耐震」とは限らない

建築確認は、工事前に建物の計画をチェックする手続きです。完成までには時間がかかるため、1982年完成でも旧耐震基準で確認を受けている場合があります。

広告の築年数だけでなく、「建築確認日はいつで、どの資料から分かるか」を仲介会社へ聞きましょう。国土交通省・管理状況チェックシート

3. 旧耐震を検討するメリットはある?

旧耐震そのものに、購入上のメリットがあるわけではありません。魅力になるのは、その物件の立地・広さ・価格です。

たとえば「希望の駅に近く、予算内で子ども部屋を確保できる物件が見つかった。ただし旧耐震だった」という場合です。新築・築浅だけではかなわない条件を満たすなら、調べる価値はあります。

一方、購入価格を抑えられても、補強費や修繕費まで安くなるとは限りません。売却時も同じ価格差で売れるとは限らないため、「安く買えた=得をした」とはまだ判断できません。

比べたいのは、価格だけでなく、確認できた耐震性、暮らしの条件、追加負担まで含めた内容です。旧耐震なら一律に安いという前提も置かず、近隣の成約事例と住戸条件を確認します。

4. 耐震診断の結果はどう見る?Is値の意味

「耐震診断済み」は、健康診断でいう「検査を受けました」に近い言葉です。必要なのは、その結果です。

報告書に出てくることがあるIs値(アイエス値)は、建物の強さや粘り強さ、形のバランス、劣化などを考慮した耐震性能の指標です。「倒壊する確率」ではありません。

鉄筋コンクリート造などの第2次・第3次診断では、一般的な目安として0.6が使われます。ただし、第1次診断では一般に0.8が目安となり、地域・地盤などで必要な値も変わります。他の指標も併せて判定します。国土交通省・耐震診断の技術資料

覚えるのは、細かい計算式ではなく、次の質問です。

この診断で必要とされる値を、すべての階・方向で満たしていますか。満たしていない部分と、必要な対応を教えてください。

同じ建物でも、階や揺れる方向ごとに評価します。一か所の「0.6以上」だけを見て、建物全体を安全と判断することはできません。国土交通省・耐震診断の技術資料

基準を下回った場合も、補強でどう改善できるかは個別の検討になります。買主が数字一つで判断せず、診断した建築士などに、総合評価と対応状況を説明してもらいましょう。

5. 誰に、何を頼めばよい?まず4つの資料から

最初の窓口は仲介会社です。購入前は、仲介会社を通じて売主側から資料を出してもらうのがよいでしょう。

確認したい資料 分かること
建築確認の日付が分かる資料 適用された耐震基準
耐震診断の報告書 診断時期、対象の棟、結果
補強工事の記録と工事後の評価資料 何を直し、どこまで確認したか
総会議事録・修繕計画・収支資料 今後の工事、決まった負担、資金の準備

進め方は「仲介会社へ依頼 → 売主側を通じて管理組合・管理会社の資料を確認 → 耐震性の判断は建築士など、融資条件は銀行へ確認」です。資料によって閲覧条件があり、すべてを取得できるとは限りません。

「大規模修繕済み」「室内リフォーム済み」は、耐震補強済みとは別です。外壁を塗り直すことと、柱や壁を補強することは目的が違うため、工事の中身を確認します。国土交通省・耐震改修工事の説明

6. 耐震補強や修繕で、いくら払うことになる?

負担の形には、積立済みのお金を使う、毎月の修繕積立金を増やす、一時金としてまとめて集める、管理組合が借り入れる、といったものがあります。組み合わせる場合もあり、借入れも返済を含めた資金計画の確認が必要です。

工事費は建物規模・工法・状態によって変わるため、ここでは相場ではなく、負担の仕組みを見る架空例を使います。

50戸のマンションで、一時金を集めるとしたら

仮定する条件 金額
診断・設計・補強工事などの総費用 1億5,000万円
通常の修繕資金を残したうえで、今回使える積立金など 5,000万円
追加で用意する資金 1億円
説明用に50戸で均等に負担した場合 1戸200万円

「購入したあとに数百万円が必要になるとは思わなかった」を避けるには、月々の積立金だけでなく、一時金の決議や検討状況まで確認する必要があります。

実際の負担は、床面積などに応じた持分や管理規約・決議で変わり、均等とは限りません。購入前に決まっている一時金は、支払時期と、売主・買主のどちらが負担するかも契約で確認します。

また、毎月の積立金が1万円増えれば、10年間では120万円の増加です。これは増額が10年間続く仮定で、一時金200万円も必要なら、追加負担は合計320万円となります。

「工事費は積立金から出るので追加徴収なし」と聞いても、次の修繕に必要なお金まで残るかを確認しましょう。国土交通省・修繕計画と積立状況の確認

7. 旧耐震でも住宅ローンは組める?

旧耐震だから必ず借りられない、とは言えません。一方、年収だけで聞いた借入目安を、そのまま使えるとも限りません。

フラット35では、1981年5月31日以前に建築確認を受けた住宅でも、所定の耐震評価基準などへの適合が条件になります。原則として物件検査と適合証明が必要で、ほかの技術基準や借入審査もあります。住宅金融支援機構・中古住宅の技術基準

銀行には、物件資料と耐震関係の資料を示し、次を確認します。

  • このマンションを融資対象として扱えるか。
  • 希望する借入額と返済期間で検討できるか。
  • どの資料が必要で、現時点の回答は事前審査なのか最終承認なのか。

たとえば「1億円を35年で借りるつもり」が、その物件では希望どおりにならなければ、自己資金や毎月の返済額を見直す必要があります。

なお、融資承認は、銀行による建物の安全保証ではありません。フラット35の技術基準への適合確認と、耐震診断による専門的な評価も同じ手続きではありません。「ローンが通るから地震も安心」と結びつけないようにしましょう。

8. 将来売れる?建替えに期待してもよい?

将来の売却価格や売れる時期は、購入時点では確定できません。確認したいのは、「次に買う人へ、何を説明できるか」です。

診断報告書や改修記録があれば、耐震性について説明する材料になります。ただし、資料があるだけで高く、早く売れる保証はありません。

購入時には、次の3点を調べておきましょう。

  • 同じマンションや近隣の類似物件に、実際の成約事例があるか。
  • 売出価格だけでなく、売却にかかった期間など確認できる情報はあるか。
  • 現時点で利用できるローンや修繕費負担に、次の買主も確認すべき条件があるか。

今使えるローンが10年後も同じ条件で使えるとは限りません。売却時には、その時点の建物・金融機関・買主の条件で改めて判断されます。

また、「いずれ建替えになるから値上がりする」という期待を、購入の前提にはしない方がよいでしょう。建替えには所有者間の合意や事業計画、費用負担の整理が必要です。検討中と実施が決まっている状態は違います。国土交通省・マンション再生

具体的な計画があっても、追加負担や仮住まいの費用、完成までの期間を確認します。新しい建物になることと、自分にとって得になることは別です。

9. 1億3,000万円の旧耐震と、1億5,000万円の新耐震なら?

以下はすべて架空の条件です。港区の相場や実際の取引事例を示したものではありません。

比較項目 旧耐震A 新耐震B
価格 1億3,000万円 1億5,000万円
駅からの距離 同じ駅から徒歩5分 同じ駅から徒歩7分
面積 85㎡ 75㎡
耐震性 診断済み。結果はこれから確認 新耐震。劣化・修繕状況を確認
工事・費用 必要な補強と追加負担を確認 修繕計画と追加負担を確認
ローン この物件で個別に確認 この物件で個別に確認

Aは2,000万円安く、10㎡広い。子ども部屋が必要な家庭なら、魅力を感じる条件です。

ただ、現段階の結論は「Aがお得」ではなく、「Aの診断結果を先に確認する」です。

Aについて、必要な耐震性と対応状況を専門家に確認でき、融資も資金計画に収まったとします。さらに、前の例の追加負担320万円が見込まれるなら、物件価格とその追加分で1億3,320万円になります。

これは総購入費用ではありません。諸費用・通常の維持費・借入利息などは別で、Bにも将来の修繕負担があります。両方を同じ期間・費用項目で比較したうえで、Aの広さや立地を選ぶ判断はできます。

一方、Aの耐震性が不足し、補強の見通しが立たないなら、価格が2,000万円安くても、その問題が解消するわけではありません。家族の住まいとしては、Aを保留し、Bや別の候補を探す判断を勧めます。

10. 自分の候補に当てはめる、購入前の6項目

  • 建築確認日と、適用された耐震基準を確認した。
  • 診断の実施状況を確認し、実施済みなら結果の説明を受けた。
  • 必要な補強の有無と、実施・計画の状況を確認した。
  • 一時金や積立金増額など、自分の追加負担を確認した。
  • 候補物件を前提に、希望する融資条件を確認した。
  • 将来売るときの懸念点を理解した。

これは「6個チェックできたら安全」という採点表ではありません。不足している判断材料を見つけるための表です。

未診断なら、その事実を確認して終わりにせず、診断予定や代わりに確認できる情報と、その限界を聞きます。「未診断だから即座に除外」ではなく、「分からない部分を残してまで、その物件を選ぶか」を慎重に考える段階です。

必要な耐震性と対応、費用、融資を整理でき、家族も条件を理解できるなら、具体的な比較を続けられます。

耐震性不足への対応が決まらない、確認できない点を立地や値引きで押し切ろうとしている、追加負担で予算を超える場合は、保留や見送りを考えましょう。

11. 「この物件では何を確認する?」を一緒に整理します

気になっている物件の建築時期、耐震診断の実施状況、管理組合の修繕計画、融資条件。Anseraでは、購入前に確認することを一緒に整理します。

「資料がまだない」「どこへ聞けばよいか分からない」という段階でも、まず一つの疑問から相談できます。確認できたことと、まだ分からないことを分け、売主側や金融機関へ聞く内容を整理します。

資料の取得には売主側・管理組合などの協力が必要で、取得を保証するものではありません。耐震性そのものの評価は建築士など、融資可否は金融機関が判断します。専門家への調査依頼が必要な場合、その費用は別途確認します。

相談・診断は無料です。最初の返信は2営業日以内にメールでお送りします。港区の1〜2億円台を中心に、港区以外の都心エリアも相談できます。

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確認日:2026年10月11日。個別の建物の耐震性、融資可否、将来の売却価格を保証する記事ではありません。