Ansera購入判断コラム

物件選び

中古マンションの売主が居住中。内覧で見えない部分はどう確認する?

売主が居住中の中古マンションで、家具に隠れた壁・床や残る設備をどう確認する?内覧で使える質問表と、契約前から退去後・引渡しまでの具体例で購入前の判断方法を解説します。

家具のある中古マンションでソファ裏の確認について相談する内覧のイメージ
執筆株式会社Ansera 編集部購入判断コラム編集
監修酒井 裕株式会社Ansera 代表
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「家具があって壁や床を見られない」「売主がいると、気になることを聞きにくい」。居住中の中古マンションでは、空室と同じようには確認できない部分があります。

大切なのは、その場ですべて見ようとすることではなく、見えなかった場所と確認方法を決めておくことです。購入の決め手になる不明点は契約前に整理し、退去後の確認は引渡しまでの予定に組み込みましょう。

ここでは、売主本人が住んでいる物件を扱います。借主が住む「賃貸中・オーナーチェンジ」の物件とは分けて考えます。

1.居住中の内覧は、暮らしている人に聞ける機会でもある

家具があると、ベッドや食卓を置いたときの広さをつかみやすくなります。実際に住んでいる売主へ、使い勝手や設備の状態を聞けることも利点です。

ただし、売主の話と自分の暮らしが同じとは限りません。「困ったことはありませんか?」だけで終わらせず、場所や時期を具体的に聞いてみてください。

確認したいこと そのまま使える聞き方
家具で隠れた壁・床 この家具の後ろに、傷や湿った跡はありますか。別の日に確認できますか?
設備の状態 エアコンや給湯器に、使いにくい点や修理したことはありますか?
引き継ぐもの この照明・エアコンは残りますか。故障時の扱いも確認したいです
季節や時間帯の違い 夏の西日や冬の結露は、どの部屋で、どの程度気になりますか?
退去と引渡し お引越しはいつの予定ですか。荷物がなくなった状態を確認できますか?

質問は「冬の暮らしを想像したいので、窓の結露が気になる時期を教えていただけますか」のように、自分が確認したい理由を添えると自然です。売主に気を遣って、その場ですべて聞く必要はありません。内覧後、建物の外などで担当者にメモを渡し、「売主側へ確認し、回答を記録に残してください」と依頼できます。

収納を開ける、写真を撮る、設備を動かすときは、先に了承を得ます。重い家具の移動は無理に頼まず、担当者に調整してもらいましょう。

音の確認は、別時間帯の再内覧も含めて中古マンションの騒音を確かめる方法で整理しています。

2.見えなかった場所は「あとで見る」だけで終わらせない

見えなかった場所を「リビングのソファ裏」「寝室のタンス下」のようにメモし、確認方法を担当者へ相談します。

  • 売主の了承を得て、別の日に見せてもらう。
  • 家具を動かせるときに、売主側から写真や状態の説明をもらう。
  • 漏水跡などが気になる場合は、売主の了承を得て専門家の調査を相談する。

小さな傷なら、補修費を見込んで納得できることもあります。一方、湿った跡や床の沈みなど、原因と費用が分からない点が購入判断を左右するなら、退去後まで先送りしない方がよい場面です。

専門家の調査でも、見られない範囲は残ります。「どこを確認できたか」を聞きましょう。

3.残る設備と不具合は、書面でも確かめる

内覧で見たエアコンや照明が、そのまま全部残るとは限りません。次の二つを、売主側の説明と現地の状態に照らします。書類の名称は取引によって異なります。

  • 設備表:何を残し、何を撤去するか。設備の故障・不具合、修理や保証の扱い。
  • 物件状況報告書・告知書:売主が把握している漏水や修繕履歴など、物件の状態。

口頭で「エアコンは置いていきます」と聞いたら、どの部屋の何台かまで記録してもらいます。残してもらえることと、動作や修理を保証してもらえることは別です。

給湯器・食洗機・ディスポーザー・換気扇も、設置年、修理歴、現在の不具合を確認します。通水や運転は、仲介担当者から一声かけてもらい、売主の了承した方法で行います。動かせなかった設備は「正常」とせず、未確認として再確認の予定を決めます。

残すもの以外も、書面で整理します。例えば「照明は引き継ぐが、棚と古い家電は不要」なら、売主の責任・費用で引渡しまでに撤去することを合意しておきます。置いていかれた荷物は「残置物」と呼ばれます。不要なものまで引き受ける約束になっていないか確認しましょう。

例えば、年式の古いエアコンを引き継ぐなら、設置年・動作・故障時の負担を確認し、交換が必要になった場合の費用も見込みます。工事や保証の確認項目は改装済み住戸の設備・配管を見るポイントも参考にしてください。

4.具体例:ソファ裏を見られなかったまま、契約してよい?

6,500万円の中古マンションを気に入った家族の架空例です。内覧ではソファ裏を見られず、エアコン2台が残るのかも未確認でした。

この家族は契約前に、ソファ裏の状態が分かる説明と写真を依頼し、次の3点を売主と決めます。

  • 確認する場所・方法・日程。今回は退去後の12月17日に現地で確認する。
  • 残すエアコン2台の状態と、不要な荷物の撤去範囲。
  • 合意した状態と違った場合の修理・撤去の負担者、期限、間に合わないときの扱い。

必要な取り決めは、仲介担当者に契約の特約や添付書面へ反映してもらいます。確認後に自由に白紙へ戻せる条件が当然に付くわけではなく、売主との合意が必要です。原因不明の湿った跡など、買うかどうかを左右する疑問は契約前に解消します。

日程の例 何を確認するか
11月1日に契約・手付金支払い その前に、未確認箇所の説明と上の3点を合意する
12月15日に売主が退去 荷物がなくなった部屋を確認できる日を調整する
12月17日に現地確認 壁・床、残る設備、撤去する荷物を、合意内容と照合する
12月20日に残代金の支払い・引渡し 気になった点の対応状況と、鍵・書類を確認する

契約後にやめたい場合、手付金はどうなる?

買主が手付金を放棄して契約をやめる「手付解除」には、使える時期の制限があります。契約に定めた期日と、相手方が契約の実行に着手した場合の扱いを確認します。12月17日の現地確認まで使えると思い込まないことが大切です。

例えば、この6,500万円の物件で手付金を価格の5%、325万円と合意した場合、買主からの手付解除ではその325万円を手放すことになります。金額は説明用の仮定ですが、「後でやめればよい」と軽く考えず、契約前に確認を詰めたい理由がここにあります。

一方、契約と違う不具合が見つかった場合は、売主の責任や対応を定めた条項と法律に沿って検討します。自己都合の手付解除とは別です。契約前に「この不具合が見つかったら、どの条項でどう対応するか」を担当者へ確認してください。

引渡し当日の朝に退去する場合は?

上の日程は説明用です。前日の搬出直後や当日の朝など、荷物がなくなってから残代金を払うまでに現地確認できる時間を、売主・仲介担当者と調整します。確認と対応の時間が取れなければ、退去・決済の日程調整も相談します。

決済後も売主が住む「引渡し猶予」を提案された場合は別の条件です。確認日だけでなく、明渡し期限、遅れた場合の対応、損傷や費用の負担を契約前に整理し、融資を使う場合は金融機関にも確認します。

5.退去後に傷や故障が見つかったら、どうする?

まず写真で記録し、仲介担当者へ知らせます。設備表・告知書・契約書と見比べ、説明や合意内容と違う点を整理します。

古い設備の通常の劣化と、契約で合意した状態との食い違いは分けて考えます。見つかった傷や故障を、すべて売主が直すという前提にはしません。東京都の手引きでも、引渡した物件が契約内容と異なる場合と、経年による品質の低下を区別しています。

修理・撤去が必要なら、まず仲介担当者と契約前の取り決めを確認し、対応と期限を整理します。話がまとまらなければ、東京都などの不動産取引相談窓口で相談先を確認する方法もあります。責任や契約解除などの法的な判断が必要な場合は、弁護士にも相談します。残代金の支払いや引渡しが迫っているときは、問題を抱えたまま当日を迎えず、早めに相談しましょう。

契約全体で確かめたいことは、中古マンションの契約前チェックにまとめています。

6.居住中だから見送るのではなく、確認の見通しで決める

居住中でも、残る設備と不具合の説明があり、見えなかった場所の確認方法と引渡しまでの対応を決められるなら、候補として比較を続けられます。

一度止まって確認したいのは、購入の決め手になる場所を見られず、代わりの説明も得られないとき。あるいは、引渡し日や設備の扱いが曖昧なまま、契約だけを急ぐときです。

候補物件で何を確認すべきか迷ったら、一つの質問から無料で相談することもできます。見えなかった場所や気になる設備を教えていただければ、追加で確認することを一緒に整理します。

参考資料